Dec 06, 2009

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 [東京 31日 ロイター] 景気拡大と財政再建の「融和」を─。今週中にも発足する野田佳彦新政権に対し、金融市場では早期の第3次補正予算編成などで自律的な経済成長の実現をめざすと同時に、財政再建の道筋をどうつけるか、その政策手腕に期待が高まっている。

 世界的な景気減速懸念が強まる一方で、国の債務問題がクローズアップされるなか、新政権には一見相反する政策を同時並行で進める課題がのしかかる。党内人事などで「ノーサイドの融和」を図った結果、実際の政策調整が難しくなるとの懸念も出ており、前途は多難との見方も根強い。株式、債券、為替市場関係者の見方を聞いた。 

 ●第3次補正予算の早期かつ大規模な実施に尽きる

 <三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長 藤戸則弘氏> 

 ─ 野田新政権に望む経済政策は。 

 「第3次補正予算の早期かつ大規模に実施するということに尽きる。日本経済は東日本大震災後4─6月をボトムに7─9月以降にV字回復が期待されていたが、グローバル経済はピークアウトの兆しをみせている。米経済は8月消費者信頼感指数が大きく低下するなど景気減速懸念が強い。欧州は財政赤字にともなう金融システム問題を抱えているほか、頼みの新興国もブラジルや中国のPMIが低下している。日本の国内だけをみると震災から順調に回復しているようにみえるが、一刻も早く財政出動によって自律的な成長軌道に乗せることが必要だ」 

 ─ 補正予算編成のうえで問題点は。 

 「幹事長に輿石東参院議員会長を指名したが、小沢一郎氏に近いといわれる同氏だけに復興増税など財源問題では紛糾するおそれがある。党内融和のために人事的にバランスをとったのかもしれないが、考え方が違う両サイドがひとつの内閣に存在するわけで、政策決定の際には呉越同舟の状態が続き、なかなか決まらない恐れがある」 

 ─ 金融政策に対する期待されるスタンスは。 

 「より緊密な連絡をとり、協力して円高に対応して欲しいと言うこともできるが、金融政策は限界が来ており、多くは望めない。第3次補正予算編成をバックアップするような金数政策が望ましいというだけだ」 

 ─ 外交政策などに関しては。 

 「やはり2つの勢力を内包した新内閣に多くは望めない。人事面で党内融和を図ったために、政策の実現性に不安が生じることになった。財務大臣が誰になっても、この問題は変わらないだろう 

 ●将来の期待成長率を低下させるな

 <東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏> 

 ─ 短命政権が続いた。野田新政権への期待はあるか。 

 「長期政権になるポテンシャルが、まったくないとは言えないのではないか。野田氏はバランス感覚や理解力があり、官僚からの受けも良かった。自身の特性を活かしながら、バラバラになった民主党をまとめあげて欲しい」

 「党内基盤がしっかりしなければ次のステップに進めない。これまで『小沢・菅・鳩山』のトロイカ体制が続いてきた。これからは小沢氏の影響力が小さくなるだろうから、新たな民主党を構築するチャンスだ。国民の期待に沿った政策推進にまい進してほしい」 

 ─ 震災復興をにらんだ3次補正編成で国債増発が必至となり、今下期以降、流通市場での国債消化を不安視する声がある。 

 「その不安は必ずしも的確ではない。10数兆円の復興費が必要になっても、前倒し債を取り崩せばカレンダーベースの市中消化額(あらかじめ決められた金額を定めた入札により発行する国債総額)は、さほど増えない」

 「市場には9月中に復興債の発行だけではなく、復興増税についてもケリを付けておいて欲しいとの声もあるだろう。しかし、需給懸念による『悪い金利上昇』は起こりにくいのが実態だ」 

 ─ どんな政策を打つべきか。

 「日本の将来の期待成長率を低下させず、維持できるような経済政策が不可欠だ。企業が国内の生産活動を続けられるよう、原発や為替、税制を含めた見直しが必要ではないか」

 「基礎的財政収支(プライマリーバランス)の2020年度までの黒字化目標を掲げており、その達成には消費税率引き上げも必要だろう。実現に向けた基盤再構築は、これまで以上に重要になる」 

 ─ 日銀との距離感はどうか。 

 「日銀に強烈なプレッシャーをかけるタイプではなさそう。外国為替市場で円相場が高騰すれば、日銀が自発的に動くだろう」

 「米連邦準備理事会(FRB)が9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加金融緩和に踏み切れば、円高バイアスが強まりかねない。日銀は10月6、7日の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切りそうだ。選択肢としては、1)「基金」を含めて買い入れる国債の年限長期化、2)ゼロ金利など政策金利の引き下げ、3)超過準備に対する付利の撤廃─などが挙げられる」 

 ●為替介入はまだ必要、円高メリットも活かすべき

 <クレディ・スイス証券 外国為替調査部長 深谷 幸司氏> 

 ─ 財務相在任中に3回為替介入したが、効果が疑問視されている。 

 「介入はまだ必要だ。規模の効果は必ずある。前回は4兆5000億円程度と言われているが、日本の経常黒字が毎月5000億円強であることを考えると、数カ月分は吸収できている。協調介入は期待できないが、実効レートで円がどのくらい過大評価されているか、生産や雇用にどのくらい影響が出ているのか、データで裏付けて交渉すれば、国際的なコンセンサスを得られるのではないか」 

 ─ 介入以外の円高対策は。 

 「政府が先日打ち出した政策は間違っていない。円高を利用する視点は重要。せっかくの円高なので国益になるアセットを抑えるべきだ。ある程度は円高も抑制すると思う」 

 ─ 新首相は財政規律論者だが、震災復興や景気浮揚という課題もある。 

 「規律は守るべき。歳出をもう少し突っ込んで削減してほしい。民主党政権で仕分けをやったが、枝葉末節。ゼロシーリングではなくマイナス20%シーリングぐらいにして、それでも必要なものを議論していく。これ削れ、あれ削れ、では収拾がつかない。震災復興が進まないのは財政の問題というより、オペレーションの問題で、スピードが足りない。被災地にはまだがれきが残っている状態だ。復興財源の調達は、国債よりも増税のほうがいいと思う」 

 ─ 日銀との連携は。 

 「追加緩和にらみにならざるをえない。日銀には協力してもらわざるをえない。海外の景気動向はさえないし、日本の生産も先行きがかなり不透明になってきた。さらに日銀が動いて効果があるのかという問題もあるが、弊害がないなら、やらないよりはやったほうがいいという姿勢で今は臨んだほうがいい」 

  (ロイターニュース 伊賀大記 山口貴也 久保信博 編集:北松克朗)

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